音楽的電子回路実践 ブースター自作編

先日僕は思いました。
僕の書く記事って理屈臭いものばかりで、もっと直接的に役に立つ内容のものも必要なんじゃなかろうかと。
だから今回は、自分らしさは大切にしつつ、かつ、皆さんの役に立つような内容を用意しました。

エフェクターの自作記事なんてものをやってみようと思います。作れば役に立ちますからね。
ブースターを作ります。

しかし、ただ作るだけじゃなくて、タイトルにも書いたように電子回路の原理も入口ぐらいは理解できるところを目指します。
こんなふうに冒頭で決意表明みたいなことしたの初めてですね。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、今回、僕、やる気です。

今回作るブースターは接続順によって音が変わります。
そのメカニズムは下記と、先日のインピーダンスの記事を参照してください。
使い方も十人十色あるものになると思います。

やっぱり大事なオームの法則

さあ、では楽しいお勉強タイムからです。

しばらく増幅回路の動作原理の説明が続きます。
作るところだけ読みたい人は飛ばして頂いても結構です。
だけど、今自分が回路のどこをハンダ付けしているか、ハンダ付けしているパーツがどんな仕事をしているか理解していると作りやすいですよ。

まずはインピーダンスの記事の際にもおさらいしたオームの法則から。

オームの法則

電圧:E (単位V)
電流:I (単位A)
抵抗:R (単位Ω)

E=I×R
I=E÷R
R=E÷I

1Ωの抵抗に電流が1A流れると1Vの電圧が発生する。
1Vの電圧を1Ωの抵抗に繋ぐと1Aの電流が流れる。
電圧が1Vで電流が1A流れているときの抵抗は1Ωである。

コレが無いと始まりません。

さて、早速今回作るブースターの回路図です。

電子回路図1 エフェクターバッファー自作

意味が分かんない人いますよね?
最初は誰だってそうです。

ブースター回路図の解説

まずINから入ってきてスイッチにたどり着きます。
これはエフェクトのON-OFFをするためのスイッチです。
OFFの時はそのままOUTへ行きます。

これ、トゥルーバイパスってやつです。

この通りの配線だと、切り替え時のポップノイズ(ボッとかガッとかいうやつ)が軽減されます。
オススメです。これにしときましょう。

インプットジャックはステレオのものを使用します。
インプットジャックにシールドケーブルのプラグが刺さっていないと回路自体に電源が流れ込まないようにしてあります。
電池で使用する場合には、使わないときはプラグを抜いておけば電池の消耗が防げます。
(偉そうに書いていますがほとんどのエフェクターはこうなってます。) 

お次はCinのコンデンサです。
これはカップリングコンデンサと呼ばれるコンデンサです。
それぞれのパーツの仕事は後述します。

その次はRb1とRb2です。

で、今回の主役、トランジスタの2N3904氏です。
彼がいないと始まりません。

後はRcとCoutとVR1とReとCeとVR2ですね。
なんかめんどくさくなって雑にまとめてしまいましたが、どのパーツもそれぞれ大切な仕事を担っています。

で、またスイッチを通ってOUTへ出ていくと。
これじゃあなんの説明も無いので分かりませんね。
大丈夫です。
この後書きます。

トランジスタでなぜ増幅されるの?

という訳で動作原理に入っていきましょう。
今回の回路は実は極々オーソドックスな増幅回路です。

まずはトランジスタでなぜ増幅されるかです。

今回使う2N3904というトランジスタは、バイポーラトランジスタと呼ばれるタイプのものです。
というか、単にトランジスタと呼ぶとき、多くの場合このバイポーラトランジスタを指しています。
トランジスタの仲間には他にもいろいろいますが、割愛。

端子は型番が印字されている平たい面を正面に見てエミッタ、ベース、コレクタ(それぞれ以下略、E、B、C)と並んでいます。

ちょっと脱線しますが、自作の定番となっている2SC1815というトランジスタはECBの順番で並んでいます。
それぞれエビスとエクボと覚えている方が多いようです。

※型番によって並び方が違いますので、データシートを確認するようにしましょう。(それが出来るようになるまでは製作記事に則ってトランジスタ等のパーツを選びましょう。)

実はトランジスタにも極性があり、今回使う2N3904はNPNという極性になります。(もう一つの極性はPNPです。)

これはEBCがそれぞれNegative、Positive、Negativeとなっており、といっても分かりませんね。
この辺りは現時点では必ずしも知っておく必要はないので、興味のある方は「PN接合」と検索してみましょう。新しい世界が見えます。

トランジスタの大事なパラメータ「hFE」

今回覚えて頂きたいのは、2点。

1.BE間の電圧は概ね約0.6Vくらい
2.BからEに流れた電流のhFE倍の電流がCからEに流れる

コレです。

hFEってなんだよ、ですよね。
これはなんというか、この倍率の名前で、それ以上の意味は持っていないと考えていただいて結構です。
なんか大げさに見出しを付けた割に大した説明をしなくてすみません。

じゃあ動作の様子を見てみましょう

例えば、hFEが100のトランジスタのBに0.01mAの電流を入力すると、その0.01mAはEに流れていき、その100倍の1mAがCからEに流れるということです。(電源などが正しく配線されている前提です。)
このとき、Bの電位はEより0.6Vほど高いところにないと電流は流れてくれません。
その図が回路図2です。
(電位は座標で、電圧は距離とお考えください。)

※これ以後、EBCそれぞれの電位をVe、Vb、Vcと表記します。
BE間の電圧やCE間の電圧はVbe、Vceと表記します。
各パーツ、各箇所に流れる電圧はIcやIr1等と表記します。

電子回路図2 エフェクターバッファー自作

ではCとEの両端に抵抗を入れたらどうなるか考えてみましょう。
電源電圧はエフェクターでよく使う9V、抵抗値は計算しやすそうなのを適当に選びました。

電子回路図3 エフェクターバッファー自作

先程と同様にBから0.01mAを入力します。
するとCに1mA流れます。
ここまでは一緒ですが、今回は抵抗がいます。

ReにはIcとIbを足した電流(=Ie)が流れます。といってもIcに比べ、Ibは1%と非常に小さいものですので、今回は無視してIc=Ieとします。(抵抗の公差は1%から5%のものが一般的ですので充分に誤差の範囲内です。)
Reは1kΩなので1mAの電流が流れると1Vの電圧が発生します。(オームの法則です。)
で、Veは1Vになります。
Rcは3.3kΩ。そこに1mAの電流が流れると、3.3Vの電圧が発生します。
Vcは9V-3.3Vで5.7Vです。

ちなみにこのときのVbは1.6Vです。

では今度はVbを揺らしてみましょう。
それぞれ上下に0.5Vずつ上げ下げます。

電子回路図4 エフェクターバッファー自作

まずは上げる方から。
1.6Vに0.5V足して2.1V。
Vbeは0.6Vなので、2.1Vから0.6V引いて1.5V。
Reの1kΩに1.5Vの電圧がかかると1.5mAの電流が流れます。
Rcの3.3kΩにも同様に1.5mA流れて4.95Vの電圧になります。

今度は下げる方。
文章は上と同じなので省略して計算式で。
1.6V-0.5V=1.1V
1.1V-0.6V=0.5V
0.5÷1kΩ=5mA
3.3kΩ×5mA=1.65V

さあ、Rcに発生している電圧に注目してみましょう。
0.5Vずつ上下させたら1.65Vずつ上下しましたね。
分かりましたか?電圧が増幅されたんです。

で、もう一度、回路図4を見てください。
Bの電位が上がったときVcは下がって、Vbが下がったときはVcは上がっていますね。
このように、この増幅回路の場合、上下が反転するんです。

ちなみにこの形式の増幅回路はエミッタ接地回路とかエミッタ共通回路などと呼ばれます。

バイアス

まだまだ続きます。

先程、Vbは1.6Vを中心に0.5Vずつ上下させましたよね?

これが0Vを中心に0.5Vずつ上下したらどうなるでしょうか。
簡単な話です。VbがVeより0.6V以上高くないとIbは流れないので、Icも流れません。
なので、増幅も何も起きません。ダメです。

今度はVbを0.6Vにして考えてみましょう。
電位が上がる方は問題ありませんが、下がると途端に電流が流れません。
これでもいけませんね。(意図してこうするときもあるようですが。)

Vbの変化にVeをリニアに反応させるには丁度いいところにVbをずらさなくてはなりません。
このようにVbをずらすことをバイアスをかけるといいます。

真空管アンプのパワー管を交換する際に行うバイアス調整のバイアスもほぼ同様の意味です。

バイアスのかけ方

カップリングコンデンサ

さて、でもピックアップから出力される信号は0Vを中心に上下を繰り返してます。
どうやればバイアスがかけられるでしょうか。

電子回路図5 エフェクターバッファー自作

そこで登場するのがまずはコンデンサです。
この回路図ではCと名付けられたパーツです。

バイアスは直流(以下略、DC)的な電位のオフセットです。
このDC成分はピックアップ(とか、前に繋がる機器)には流しちゃいけません。
というか、流れてしまうとバイアスも設計通りにならず、きちんと動作しなくなります。
場合によっては機器が壊れます。

そんなDC成分をカットしてくれるのがカップリングコンデンサCです。
音の信号は交流(以下略、AC)です。
コンデンサはACは通して、DCは遮断するという都合のいい性質のパーツなんです。

カップリングコンデンサCの左側では0Vを中心とした信号、右側では大体1.6V辺りを中心とした信号となります。

バイアス抵抗

バイアスの電位を決定づけるパーツはR1、R2と名付けられた2本の抵抗です。
電源(今回は9V)と0Vの間で抵抗分圧によってVbを決定します。

ちなみにここの抵抗でこの回路の入力インピーダンスがほぼ決まります。
ただし、後述の理由でむやみにインピーダンスがあげられません。

今回の回路の場合、信号の入力が無い状態でもIcが1mA流れています。(アイドリング電流と呼びます。)
ですのでIbも0.01mA流れ続けています。というか流し続けなくてはなりません。
R1とR2はそのIbを供給するための抵抗でもあります。
なので、特にR1に流れる電流は、トランジスタの諸事情等を勘案してIbの10倍以上、今回の場合であれば0.1mA以上欲しいです。

という訳で計算してみます。
9V-1.6V=7.4V (Vr1)
7.4V÷0.1mA=74kΩ

74kΩ以下の抵抗でなくてはなりません。
となると選べる抵抗は68kΩとなります。

※抵抗値にはシリーズがありまして、よく売られているのはE24というシリーズです。
1.0 1.1 1.2 1.3 1.5 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.7 3.0
3.3 3.6 3.9 4.3 4.7 5.1 5.6 6.2 6.8 7.5 8.2 9.1
これらの数字を10倍だったり100倍だったりした抵抗値のものが売られてます。

でR1は68kΩに決まりました。
R2はどうしましょうね。
7.4V÷68kΩ=0.1088mA
ここからIb分0.01mAを引くと0.0988mA
1.6V÷0.0988=16.194kΩ
じゃあ16kΩですね。

この回路の入力インピーダンスについて考察

これでR1とR2が決まりました。
試しにインピーダンスを計算してみましょう。
並列の合成抵抗の計算です。
(68kΩ×16kΩ)÷(68kΩ+16kΩ)=12.952kΩ
大体13kΩですね。

これでは入力インピーダンスとしては低すぎます。
パッシブの信号はハイだけでなく全体的にそれなりに減衰されてから増幅されることになります。(この辺はインピーダンスの記事を参照してください。)
それではちょっと効率が悪いですね。

あと、カップリングコンデンサCの容量も大きくしなければならなくなります。
というのもここにはRCハイパスフィルタという低音成分をカットしてしまうフィルタが形成されます。
これはコンデンサを使う以上仕方ないんですが、出来るだけ低音まで出そうとするとコンデンサの容量を大きくする必要があるんです。

例えば104(100nF)のコンデンサでは300Hzくらいから減衰が始まり、122Hz辺りで-3dBとなります。
(ちなみに-3dBになるところをカットオフ周波数(fc)と呼びます。)
正直、これくらいはギターならすこし音の味付け的な感じでやっちゃってもいいかもしれませんが、ベースではいけません。
最低でもfcが12.2hzになるように105(1uF)くらいにしておきたいです。
(フィルタ計算と検索すればブラウザ上で計算してくれるページが見つかります。便利ですので使う人はブックマークでもしておくといいですよ。)

入力インピーダンスが高くなればCの容量は小さくて済みますので、コンデンサ自体のサイズも小さくしやすいです。

入力インピーダンスを上げなくてはね

という訳で、入力インピーダンスが低すぎてエフェクターとしてはこの回路は向きません。
では、入力インピーダンスを上げるにはどうしたらいいのでしょうか。

一番簡単なのはアイドリング電流を減らすことです。
例えば同じVeでReの抵抗値を10倍にすれば、Ieは10分の1になります。そうすればIbも10分の1で済みます。
そうすればR1とR2の抵抗値も上げることが出来ます。
今回作るブースターの回路はそのような方法を取っています。

ただし、この方法にはデメリットもあります。
取り扱う電流がDC、AC共に少なくなりがちですので、大きな電圧を取り出そうとすると高い抵抗値の抵抗を使う必要があります。
そうすると出力インピーダンスが高くなりますので、ノイズの影響を受けやすくなります。
なので、この方法にも限度があるんですね。(今回作る回路くらいならよっぽど大丈夫です。)

出力部分にもカップリングコンデンサがいます

では出力側の話をしたところでもう一つ。
先程、バイアスの話でカップリングコンデンサの仕事を説明しました。
これは入力の話でしたが、出力の際にもVcのDC成分のカットに必要です。

電子回路図6

ここのコンデンサの容量は次につながる機器の入力インピーダンスや入力部分のコンデンサと合わさってハイパスフィルタとなりますので、ある程度大きくしておかなければなりません。
といっても10uF程度あればよっぽどの場合、大丈夫だと思います。

ちなみにカップリングコンデンサCを通り抜けた後の信号は、どこを中心にすればいいのかわからず、まるで飲み過ぎて終電と行き場を無くした女の子の様です。
安全に落ち着ける場所を与えてあげなければ危険です。
それを決めるのが紳士Rout氏です。先ほど入力の信号をR1君とR2君がVbに導いたように、Rout氏が信号の中心を0Vへと導きます。
RoutにはDC的な接続がアース(0V)以外ありませんので0Vが中心になる寸法です。

以上を踏まえた上で

で、改めて今回作る回路図を見てみましょう。

電子回路図1 エフェクターバッファー自作

学んだ回路とは少し違いがあるものの、もう何となく分かったんではないでしょうか。

見慣れないCeとかの説明をしましょう。

Ceが付くことによって、ACだけ通り道がVR2分広くなり、電流量が増えます。
大体Ic=Ieですので、増えたAC分がRcにも流れます。
そうすると結果的に増幅率が上がります。

ちなみにここを可変抵抗にすることにより、増幅率も可変して調整できるようになっています。

VR1はボリュームです。
先程のRoutと同様の仕事をしながら、最終的な音量を調整できるイケメンです。

今度はCdの説明です。
デカップリングコンデンサと呼ばれるコンデンサの使い方の一つですが、実はコレ、なくても回路は動きます。
ですが、電源から入ってくるノイズってのもいて、それらを回路側へ行かないように逃がしてやるコンデンサです。
しっかりしたパワーサプライを使う予定ならよほど不要ですが、安いアダプターで使うのなら最低でも100uF以上の電解コンデンサを入れておいた方が良さげです。

SBDもいなくても大丈夫なんですが、電源の+と-を間違えて、回路が壊れてしまうのを防ぐ用です。
保険の為に入れておくことをお勧めします。

これまでの内容をふまえると意味の無いパーツは無いことが分かっていただけたかと思います。
最初の方に書いたように、各パーツの仕事を理解しながらハンダ付けしていくと作業の意味も理解でき、モチベーションも保てます。

この回路の真の目的

実はこの回路、これでも入力インピーダンスが60kΩと、先程の回路ほどではないにせよ、なかなかに低いです。
ここはインピーダンスの記事の内容が体感でき、理解が深まるかと思ってこうしました。

言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、いい音が欲しければ製品を買った方が早いし、試奏も出来るのでそっちの方が間違いないです。

今回はパッシブの楽器の信号を入力した場合と、一度バッファを通った信号を入力した場合とでの音の違いを体感してもらいたかったんです。
ご自身で作るものはまずは音の良し悪しよりも、いろんな仕組みを理解してほしかったんです。
これを読んでくださっている方は、きっと手軽にいい音の出るものを欲しているわけではないと、そう思ったんです。

僕は、これから研究して真理を求めたい人の為に、その入り口になるようにありたく思っています。

では、お待たせしました。
実際に作っていきましょう。

ブースターを自作してみましょう

とはいったものの、作るにあたって必要な工具があります。

エフェクターを作るのに準備する工具

便利な世の中になったもので、今時あらゆる工具やパーツが通販で揃います。むしろ買えないものは無いんじゃないかとさえ思います。
どこで買えばいいかは「エフェクター 自作」で検索すると、いろんな人がいろんな通販サイトについて書いている記事が見つかりますのでそちらを参照してください。
特に工具なんかはどんなものを選ぶと良いのかとかも丁寧に書いてくれている記事もあります。(余計に長くなるのでここでは書きません。)

とりあえず必須の工具はこちらです。

・ハンダごて
・ハンダ
・ニッパー
・ドリルビット鉄工用 (7mm、10mm、12mm、他LED用の細めのビット)
・ドリル(理想は電動のもの)
・レンチ(各部の六角ナットを締められるよう、サイズ各種あると便利。無ければモンキーレンチの様なフレキシブルにサイズに対応できるものを。)

少なくともこれらはないと話になりません。
持っておくとエフェクター製作だけじゃなくて他にも色々使えて便利です。
買っておいて損はしないでしょう。

最近は100均なんかでもハンダごてとか売ってるらしいです。
スゴイですね。
まあ100均の工具はタフネスが足りないので使用頻度が多くなりそうなら2,000円くらいのでも買っておきましょう。

エフェクターを作るのが楽になる工具

次にあると作るのが楽になる工具。

・ラジオペンチ
・ワイヤストリッパ
・リーマー
・ヒートクリップ
・グルーガン

このうちリーマーは、上記のドリルビットが揃えられなかったorドリルの仕様上、細めのビットしか使えない場合には必須になります。

ブースター作成に使用するパーツ

次に使用するパーツです。

・抵抗
2.2kΩ
10kΩ
15kΩ
100kΩ
150kΩ 各1個

・コンデンサ
224 1個
100uF25V 電解コンデンサ 1個
10uF25V 電解コンデンサ 2個

・トランジスタ
2N3904 1個

・ダイオード
ショットキーバリアダイオード(例:BAT43) 1個

・LED
お好みの色、サイズの物 1個

・可変抵抗
50kΩAカーブ
10kΩBカーブ 各1個

・ラグ板
平ラグ板3P 1個

・ジャック
6.3mmモノラル
6.3mmステレオ 各1個

・DCジャック
2.1mm標準DCジャック 1個

・フットスイッチ
3回路2接点 1個

・配線材
3色以上あるといいかも 各1mくらい

・ケース
入れば何でもいいけど金属製推奨 1個

・電池スナップ
必要なら1個

・基板を固定する何か

コンデンサにはいろんな種類がありますが、C1の224については種類は問いません。
ただし、使うものによって僅かながら音が違います。(どのパーツでもそうなんですが、コンデンサはことさら顕著です。)
この製作記事ではフィルムコンデンサという種類のものを使います。

ケースはHAMMONDの1590Bというアルミダイキャストケースを使っています。
アルミダイキャストケースはHAMMOND以外ではTAKACHIというブランドのものが入手しやすいです。
国内シェア的にはトイレでいうところのTOTOとINAXみたいな感じです。

失敗しちゃうと嫌なので、抵抗、コンデンサ、トランジスタ、平ラグ板は2個分あってもいいかもしれません。
練習をしないとハンダ付けはうまくなりませんので、最初は失敗しがちです。

さあ、今回はプリント基板みたいなものではなく、配線が簡単なラグ板というパーツを使って増幅回路部分の基板を作っていきます。
これを使う事によってなんかオールドスクールでカッコいい感じになります。

ブースター作成スタート

まずは基板から

ではパーツを載せていきます。

まずは抵抗からいくのですが、これが一番間違いやすいです。
抵抗値がカラーコードで書かれているので、コレが初心者にはハードルが高くなりがちなところです。
カラーコードについては、ただでさえ長い記事がさらに長くなるので書きません。
ご自身でお調べください。(すみません。)

今回は普通の安いカーボン被膜抵抗を使います。
写真の通りになるように配置しましょう。カラーコードに注意してください。

上記の動作原理を読んだ人は、どのパーツなのかを意識しながら作っていくといいでしょう。
(くどいようですみませんがコレはホントに大事。)
上に出ている3つの端子それぞれにトランジスタのE、B、Cが繋がります。
左下の端子がGND、中央下の端子がIN、右下の端子が+9Vが繋がります。
回路図と見比べながらだと、間違いが減るかもしれません。

とりあえず上の写真の赤丸を付けたところをハンダ付けします。

次にコンデンサです。
写真中央のコンデンサは大丈夫ですが、上の2本の電解コンデンサには極性があります。
ラグ板側が+で、まだ繋がない方が-です。

で、この段階でパーツの載っている箇所は全てハンダ付けしてOKです。
(勢い余ってトランジスタまで付けちゃいました。すみません。)

次にトランジスタを付けます。
足の並びに充分に注意しましょう。
トランジスタは熱に弱いパーツですのでハンダ付けは素早くしなければなりません。
でも、不慣れで難しい方にはこんな便利グッズ、ヒートクリップがあります。


写真の様にトランジスタの足を挟んどいてあげると、ハンダごての熱がヒートクリップに逃げていき、トランジスタ本体へ熱が伝わりにくくなります。
勿論、それでも出来る限り素早くやらないとだめですよ。
制限時間が少しだけ伸びる程度です。

とりあえず基板部分はこれで一旦完成です。

次はケースの加工

次はケースの加工をしていきます。
まずはマウントするパーツの位置決めです。
好きに置けばいいですが、意外にこれは大事です。
失敗するとケース内で各パーツが干渉してマウントできず、最悪ケースを買い直して作り直しとなりますので気をつけましょう。

で、穴を開けます。
当店にはボール盤があるので楽です。
手動の方は頑張ってください!

※安全確保のためボール盤の電源を切ってる状態で撮影しています。

試しにパーツを載っけてみましょう。

大丈夫そうですね。

配線

今度は配線ですが、その前に下準備が必要です。
配線材やジャックなどのパーツに予備ハンダと呼ばれる下処理を行います。
これをやんないと、特に撚り線の配線材を使う場合には綺麗にハンダ付けできないし、ハンダ不良の原因になります。
必ずやってください、必ず。
やり方は動画で見た方が分かりやすいですので、YOUTUBEとかで「予備ハンダ」と検索してみてください。
ちなみにこれ、ちょっと難しいんですがハンダ付けの練習にはもってこいだったりします。

配線していきます。
ここで配線材の色を分けると分かりやすくてナイスです。

基板を固定する何かを用意していたらこの段階で固定しちゃうと楽です。
ラグ板で作る場合、電気の流れるところが剥き出しでショートさせやすいので気をつけましょう。

写真の様に配線してください。
この写真では左が10kΩBカーブ、右が50kΩAカーブの可変抵抗です。
可変抵抗は足の並びの向きに要注意です。

細かいところはこう。

LEDはグルーガンで固定してしまいましょう。
また、LEDにも+と-があります。
足が長い方が+側ですので、足を切ってしまう前に確認しておきましょう。

お、もしかして完成?

これで、電源を投入して楽器とアンプを繋げば音が出ます。
ですが初めて作ったものって、音出ないことの方が多いんですよ。かつての僕もそうでしたし。
出ないときは前述のようにショートしているか、配線が間違っているか、トランジスタやダイオード等が熱で壊れてしまったかどれかでしょう。(INとOUT間違えてるとかもあるかも)
まずは配線をくまなくチェックしてください。
回路図と実態配線図を見比べる力も身に付きます。

何度見ても間違ってないと思っても作った興奮のせいで冷静に見れていないだけで、一晩明けてから改めてチェックすると見つかったりしますよ。
それでもだめならパーツが壊れていると思われますので、まずはトランジスタを新しいものに変えてみましょう。

音はどうでしょう。
5kΩのポットのノブは3時くらいから急激に効きますね。
これならAカーブか、1kΩのポットでもよかったかもしれません。
ハムバッカーのギターでは、5kΩのポットのノブが9時くらいからもう歪んじゃいますね。
これは狙って歪むようにしたんですが、出来るだけクリーンな増幅を所望される場合はバイアスを下げると、Vcが上下出来る幅(ヘッドルームといいます)が広がり、歪みにくくなります。
この理屈はお勉強編のほんのちょっとした応用です。

エクステリアはお好みで

外見は好きにしてください。
僕はマジックで書いただけですが、こんな感じにしました。

なんとなくレトロカッコいい感じをを目指してみましたが、ギリギリ合格。(コントロールノブとかの外装パーツ選びは正直、音よりも大事です。)

おまけ程度の改造編

そんなことより、知らないスイッチが付いてるのにお気づきでしょうか。
実はこの回路、簡単な改造で歪みエフェクターにもなります。(音の良し悪しはさておき)

これの赤い部分が足した回路です。

実態配線はこうです。
ただ単純にダイオードクリップを足してスイッチでそのON-OFFを選択するようにしただけです。
ここに使うダイオードの種類を変えると音も色々変わります。それはもうまるで別物の様に変わります。
ちなみに今回はレトロカッコいいを目指してゲルマニウムダイオードの1N60をチョイスしてます。
なんかザブンとした感じの少しウェットな歪です。ハムだとファジーな感じになりました。
個人的にはキレが足りません。片側をLEDのクリッパー(ダイオードをこういう風に使う時、こう呼びます)とかにするといい感じかもしれません。

こういう感じでクリッパーも気が向いたら是非色々試してみてください。
比較的簡単に出せるオリジナリティです。

まとめ

さあ、また長い長い記事になりました。

今回作ったブースターは実用性より、学習、練習、実験というテーマで設計しました。
この回路はホントに基本的で、僕がダイオードクリップを足したように、簡単にいろんな機能を足したりできて拡張性は高いです。

上でも少し触れたようにVbやVcを変えたりして色んな動作点での音色の違いを研究するのもいいですね。是非挑戦してみてください。
その結果、自分の作った機材で自分の理想の音が出せるって素敵です。

この記事の評判が良かったら今度はバッファでも作ってみましょうかね。
需要有るでしょうか?
では。

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