バンドにおけるエレキベースの音作りを考える【その2 歪み】

ベースの音作りについて、考えるシリーズ。今回は、歪みに迫っていきます。

歪みといってもかなり幅が広く、オーバードライブ/ディストーション/ファズでは、全然キャラが違います。その中でも、今回は特にファズに注目して紹介していきます。

洋楽部門は、RadioheadのExitMusicで、邦楽部門は山崎まさよしさんの心拍数です。どちらも、ラストに向かって盛り上がる過程で歪みます。エモーショナルな場面で歪んだベースというのは、とてもグッとくるものです。

(「ひずみ」と読みましょうね。「ゆがみ」じゃないですよ。)

ベースにおける歪みに関して

では、ベースにおける歪みを考察してみましょう。

※ここからは、僕の好みが色濃く出てしまいます。
予めご了承くださいませ。

ベースにおける歪みはギターのそれとはやや立場が違うと考えています。前回のエントリーで書いたように、普段縁の下の力持ちに徹しているベーシストが、フロントに出るときに勇気をくれる。それこそが、ベースの歪みではないでしょうか?

「歪み」と一口に言っても、その種類は極々簡単に分類してもオーバードライブ・ディストーション・ファズと3種類あります。それぞれの中で、もっと細かく分かれます。
それぞれの定義とかは別の話題になってちゃいますので、割愛させて頂きます。

それぞれの歪みをフレーズの性格によって使い分け出来ると、音色もフレーズもより輝きます。

ルート音をゴリゴリ弾き続ける場合、軽く歪ませる程度で、強烈に歪ませることは余りありません。オーバードライブのようなライトな歪みだと、切れ味が程よく乗って、アタックが綺麗に出てくれます。余りに歪み過ぎると、アタックが潰れてボヤけてしまい、「刻む」って感じが出難くなります。

リフの場合、ディストーションだと歪み感も音程感も両立出来て、フレーズに説得力が出てきます。このとき、あまりブーミーな音色にしてしまうと、キレが悪くなってフレーズが聞こえ難くなってしまいます。

ローが少々スッキリしちゃうくらいが、調度いいかもしれません。
少々ですよ。カリカリにしちゃうのはよくありません。

ファズを掘り下げていきましょう

フレーズがロングトーンでうねるような場合、ファズ然とした隅々まで歪み切った音がよく似合います。

僕は歪みでファズが一番好きなので、不平等ながらファズを特に掘り下げていきましょう。
ファズ好きのベーシストは、意外に多いのです。ホントです。

まずは最初に取り上げたツイートにもあったBassBigMuffπ等のMuff系ファズ。

これはUSAの現行モデルです。

ベーシストを対象にファズの人気投票をすれば恐らく1位を獲得するであろうは通称アーミーグリーンのロシア製BigMuffπですね。異論ありますか?
(色でも分かるようにBassBigMuffπはアーミーグリーンをモチーフにしています)
これはファッションアイテムとしても抜群ですね。カッコいいですもん。

他のブランドからもレプリカやら、Muffモチーフやらのファズが、たくさん発売されています。
ベース用とされるのはロシアン系が多いですかね。音も太い傾向がありますし。

Muff系はダイオードクリッピング(歪ませる手段の一つです)によって歪ませる回路なので、ものすごく歪んでいてもイヤミがなく、使いやすい音色です。ややディストーション的と言ってもいいかと思います。ファズの入り口ながら、人懐っこくてどこまでも行っても付いてきてくれます。

お次はMaestroのBrassMaster系。

これも数年前にMalekkoHeavyIndustryというブランドがレプリカを出してより盛り上がったジャンルですねー。オリジナルは今はどうなんでしょう。15万円とかが相場ですかね?手が出ません……

これは1オクターブ上の音を足す、アッパーオクターブファズになります。
トランスを使ってアッパーオクターブを作り出しているのですが、そういった回路はOctavia系でも見られますけど、使い方が違います。詳しい解説は長くなりますし、話がそれてしまうので割愛します。

普通(ファズにおいて何が普通なんでしょうね?)な音も、奇抜な音も作れる多機能で有能な選手ですが、コントロールがやや複雑で分かり難い点が欠点です。
いますよね。ハイスペックでイケメンなのに趣味に凝り過ぎてめんどくさいやつ。そんな感じです。

次はお待ちかね、FuzzFace系です。(僕もFuzzFace愛用中)

ちょっと乱暴ですが、似たような回路なのでToneBender系もまとめてしまいましょう。
ちなみにToneBenderの方が約1年先輩です。

ギターでは定番のFuzzFaceですが、ベースで使用している人はあまり見かけません。
物理的な意味での扱いにくさが一番の原因ではないかなと思います。

でかくて丸い、InとOutが普通のコンパクトエフェクターと逆、インジケータLEDが無い、外部電源未対応…など現代的ではない仕様になっています。レプリカ(全部ではありませんが)やFuzzFaceMiniは、ここら辺の問題は克服しています。

音色は実はベーシストの好むところだと思います。

何を隠そうベーシスト大好きZ.VEXのWoollyMammothはFuzzFaceの発展系の回路です。EQのコントロールが付くと、こんなにも使いやすくなるものなのかと僕も感心しました。それでも僕が、EQも付いてないFuzzFaceを使い続けるのは、愛着があるからです。(バンドメンバーもこれが気に入っていますし)

その他にも、あらゆるアプローチで作られたファズがたくさんあります。全部取り上げていたらキリがありません。いっぱい試して、自分のベストファズを見つけてください。

さて、多くのファズに共通して言える音作りのヒントがあります。

「バッファは通さない方がいい」

好みもあるので一概に言い切れないところではありますが、一般論としてご紹介します。バッファを通すと、高音が出過ぎて暴れがちな音になる傾向があります。

メカニズムの解説(インピーダンスとかめんどくさい話)は避けますが、その高音アリアリの状態で音量を調整するとローが足りなくなるのを経験済みです。

前回の記事とも少々被ってくる話なのですが、一般的なバンドではベースには、よほどの高音はあまり必要ではありません。ですので、パッシブの楽器で一番最初に繋いであげるのがベターです。

前に出ながらも全体のバランスを意識する事が、やはり良い音への近道です。決して驕らず、ベーシストらしくありましょう。

ベース向けの歪みに搭載例が多いコントロールに「Blend」や「Mix」と名付けられているツマミがあります。

このモデルでは一番左の「原音」のツマミがこれに相当します。

これはドライ音とウェット音(エフェクトがかかる前をドライ音、かかった後をウェット音と呼びます)の割合をコントロールしたり、ドライ音を足したりするツマミです。

これにより、歪む過程で損なわれがちな低音成分や音程感を、容易く補うことが出来ます。この便利なコントロールを思いついた人は称賛に値します。天才です。

また、XoticのX-Blender等、ブレンド機能が無いエフェクターでも、ドライ音のブレンドが出来るようになる便利グッズも登場しておりますので、こちらも要チェックです。

まとめ

ギターの歪みも奥が深いですが、ベースも別のベクトルで奥が深いものです。お悩みの方は一緒に悩みましょう。

次回は「~黒幕は誰だ~アンプ編」です。(正解出ちゃってますね。)

バンドにおけるエレキベースの音作りを考える【その1 音のイメージ】
バンドにおけるエレキベースの音作りを考える【その3 アンプ】

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